ECサイト運営のランニングコストを解説!構築・維持費と賢い削減方法とは?

ECサイト運営のランニングコストを解説!構築・維持費と賢い削減方法とは?

ECサイトの立ち上げを考える際、初期費用に目が行きがちですが、事業を継続していく上で本当に重要なのは、運営にかかる全体の「ランニングコスト」を把握し、コントロールすることです。

「毎月どれくらい費用がかかるの?」「どうすればランニングコストを抑えられる?」そんな疑問をお持ちの担当者の方へ、この記事がECサイト運営のコスト計画を立てる一助となれば幸いです。

ECサイト運営のランニングコスト|相場と賢い削減方法

キーボードに描かれたショッピングカートのピクトグラム

ECサイト運営にかかる費用は、最初にまとまった費用がかかる「初期投資」と、運営を続ける限り発生する「ランニングコスト」があります。
まずは2つのコストに関する全体像を掴みましょう。

ECサイト構築時の初期投資費用

以下はECサイトを開設する際に発生する主な初期費用です。選ぶ構築方法や求める機能・デザインによって大きく変動します。

目的 費用目安
サイト設計・デザイン費 サイトの骨組みや見た目を作る費用 ・テンプレート利用:数万円〜
・オリジナルデザイン:数十万円〜
システム導入・構築費 ECサイトの機能を実装費用
(カート、決済など)
・ASP:初期無料〜数万円
・パッケージ:数十万〜数百万円
・フルスクラッチ:数百万円〜
商品登録・コンテンツ制作費 商品情報やサイト内記事の作成費用 内製か外注かで変動
初期SEO対策費 検索で見つけてもらいやすくする設定費用 数万円〜

ECサイト構築にかかる費用は、小規模でも数十万円、こだわれば数百万円規模の初期投資が必要になることを念頭に置きましょう。

月次・年次で発生するランニングコスト

こちらが本題の、ECサイトを継続的に運営するためにかかる費用です。利益を左右する重要な要素です。

項目 目的 費用目安
サーバー・ドメイン費 サイトの置き場所代と住所代 ・サーバー:月額数千円〜数万円
・ドメイン:年額数千円
※ASPの場合は月額利用料に含まれることが多い
システム利用料・保守費 ・ASPの月額料金
・パッケージの保守費用
・カートシステム利用料
・システムの維持管理費用
・ASPの月額料金:無料〜数万円
・パッケージの保守費用:月額数万円か~100万円程度
・カートシステム利用料:月額数千円~10万円程度
・システムの維持管理費用:月額数万円〜
決済手数料 売上に応じて決済会社に支払う手数料 売上の3〜5%程度
SSL証明書費 通信暗号化のための費用 年額無料〜数万円
※プランに含まれる場合もある
人件費 サイト運営スタッフの人件費 月30万円程度~
広告・販促費 集客のための費用 売上の20%~30%程度
物流・倉庫費 商品保管・梱包・発送の費用 2万円〜5万円程度

これらが毎月、あるいは毎年発生します。最低でも月数万円、売上規模によってはそれ以上を見込む必要があります。

予算計画時に見落としがちな隠れたコスト項目

基本的な費用の他に、以下のようなコストも予算に入れておくことが重要です。

項目 目的
セキュリティ対策強化費 不正アクセス対策(WAF導入、脆弱性診断など)
バックアップ・障害復旧費 万が一のデータ消失やシステムダウンに備える費用
法的対応コスト 法律改正への対応や規約見直しなど
システムトラブル対応費 緊急時の対応費用
機能追加・改修費 サイト改善のための費用
ツール利用料 MA、CRM、解析ツールなどの月額費用
返品・クレーム対応コスト 返品処理や顧客対応にかかる費用

これらの「隠れたコスト」を考慮し、予算に余裕を持たせることが最適化の鍵となります。

ECサイト構築方法と費用比較

ノートパソコンとショッピングカートのミニチュア

ECサイトの構築費用に関しては、作り方によってかかる費用は大きく変わります。代表的な3つの方法を比較してみましょう。

パッケージソフト型プラットフォームの費用構造(EC-CUBE、Magento等)

ソフトウェアを購入・ダウンロードして自社サーバーで構築します。

費用 初期費用は数十万円〜数百万円(ライセンス費、カスタマイズ費など)。
ランニングコストは月額数万円〜(サーバー代、保守費など)
特徴 ・カスタマイズ自由度が高いが、専門知識が必要
・EC-CUBEは無料版あり
・中〜大規模向け

月額課金型サービスの費用構造(Shopify、BASE等)

サービス提供会社のシステムを月額料金で利用します(ASP/SaaS型)。

費用 初期費用は無料〜数万円。
ランニングコストは月額数千円〜数万円(プラン料金、販売手数料、決済手数料など)
特徴 ・低コストで早く始められる
・サーバー管理不要
・カスタマイズ性は低い
・売上増で手数料も増える
・小〜中規模、初心者向け

自社ECサイトを運営する事業者の中で、近年最も増加傾向にあるのが、上記の月額課金型サービスになります。

フルオーダーメイド開発のコスト構造

完全にゼロからオリジナルのECサイトを開発します。

費用 初期費用は数百万円〜数千万円以上。
ランニングコストも月額数十万円〜と高額(インフラ費、保守費など)
特徴 ・完全に自由な設計が可能
・費用・期間・専門知識が必要
・独自性の高い大規模サイト向け

初期費用とランニングコストのバランス、求める機能、自社の体制を考慮して最適な方法を選びましょう。

ECサイト運営に必要な人材と人件費

ミニチュアの人々と金貨

ECサイト運営には様々な役割を担う人材が必要です。人件費も大きなランニングコストとなり、業務のキャパオーバーにならないよう管理しながら、適切な配置をするのが利益を保つ鍵となります。

ECサイト運営に必要な人材

サイト規模によりますが、主に以下の役割があります。

人材 役割
店長/責任者 全体統括、戦略立案
マーケター 集客、販促企画
デザイナー/コーダー サイト制作・更新
商品/コンテンツ担当 商品登録、記事作成
CS担当 顧客対応
受注/物流担当 受注処理、在庫管理、発送
システム担当 保守運用(内製の場合)

小規模なら兼任も可能ですが、成長に合わせて専門人材が必要になります。

業務の内製と外注:費用比較と判断基準

全てを自社で行う「内製」と、外部に委託する「外注」があります。

内製 外注
メリット ・ノウハウを蓄積可能
・改善しやすい
・プロ品質
・変動費化
・コア業務に集中できる
デメリット ・採用、教育コストが掛かる
・固定費が増える
・費用が割高
・ノウハウが蓄積しない可能性あり

写真撮影、デザイン、広告運用、CS、システム保守、物流などは外注しやすい業務です。
「コア業務か」「頻度・量は」「専門性は」「コストは」「品質は」といった基準で、内製と外注の最適なバランスを見つけることがコスト効率化に繋がります。

マーケティング・集客にかかる継続コスト

グラフと虫眼鏡

ECサイトへの集客は継続的に行う必要があり、それに伴うコストも発生します。
集客施策は様々ですが、ここでは一般的な集客施策である広告運用費・SEO・コンテンツマーケティングに焦点を当てて解説していきます。

広告運用費

Web広告は短期的な集客に有効ですが、継続的な費用がかかります。

広告の種類 特徴
リスティング広告 検索結果広告。月額数万円〜。
クリック課金
SNS広告 SNS上の広告。月額数万円〜。
ターゲティング精度が高い
アフィリエイト広告 成果報酬型。ASP利用料+成果報酬

売上目標から広告予算を決め、効果測定(ROASなど)を行いながら改善していくことが重要です。売上に対する広告費率は5〜20%が目安とされることもあります。

SEO・コンテンツマーケティングの投資費用

SEOやコンテンツマーケティングは、中長期的な集客として基盤を作るための投資費用として考えておきましょう。

項目 目的 費用目安
SEO対策 検索エンジンで上位表示させるための施策。
内部対策、コンテンツ作成など。
・外注:月額数万円〜
・内製:人件費
コンテンツマーケティング ブログ記事、動画、SNSなどで役立つ情報を発信。 ・外注:記事/動画単価
・内製:人件費

効果が出るまで3ヶ月~6ヶ月程度かかるのが一般的ですが、成功すれば広告費に頼らない集客が可能になります。

ECサイトのシステム関連ランニングコスト

サーバールームのイメージ

システム関連ランニングコストとは、サイトの安定稼働と安全性を維持するための費用です。
サーバー・インフラ費用や保守管理にかかる費用になりますので、ほぼ確実にかかるランニングコストとして見ておきましょう。

サーバー・インフラ費用

サイトの置き場所代です。サイト規模やアクセス数に応じて選びます。

項目 規模感 費用目安
共用サーバー 小規模向け 月額数百円〜
VPS 中規模向け 月額数千円〜
専用サーバー/クラウド 大規模・アクセス変動が大きいサイト向け 月額数万円〜

ASP型は月額料金に含まれることが多いです。サイト成長に合わせたスケールアップ費用も考慮しましょう。

セキュリティ対策と保守運用コスト

安全なサイト運営のための必須コストです。

項目 目的 費用目安
SSL証明書 通信暗号化 年額無料〜数万円
WAF 不正アクセス防御 月額数千円〜
脆弱性診断 定期的なセキュリティチェック 1回につき数十万円〜
システム保守・アップデート プラットフォームやプラグインの更新対応 外注の場合は月額数万円〜
バックアップ データ保護のための費用 月額数百円から数千円程度

問題発生前の「保険」として継続的な投資が必要です。

物流・決済関連のランニングコスト

トラックの模型

商品の移動と代金回収に関する費用です。

物流・在庫管理のコスト

商品の保管・梱包・発送にかかる費用です。

項目 目的 費用目安
保管費 倉庫代(自社または外部) 2万〜5万円程度
荷役・梱包費 作業人件費、資材費 商品により異なる
配送料 運送費
※送料無料の場合は要考慮
商品により異なる
在庫管理システム費 在庫管理業務の効率化
必要な場合のみ
月額費用は数千円~10万円以上

自社物流か外部委託(3PL)か、ビジネスモデルに合わせて選択します。

決済手数料

顧客が利用する決済手段ごとに発生します。

決済方法 手数料
クレジットカード 売上の3〜4%程度
コンビニ決済 1件100円〜300円程度
後払い決済 売上の4〜6%程度
その他
(代引、銀行振込、キャリア決済、ID決済など)
決済手段により異なる

利便性とコストのバランスを見て、導入する決済手段を選びましょう。決済代行会社の利用も有効です。

ECサイトのランニングコスト削減策

コストと書かれた紙にハサミを入れる

ここまでECサイトのランニングコストの内訳について説明してきましたが、品質を落とさずにコストを最適化する方法はあるのでしょうか?

結論、業務フローのマニュアル化や必要に応じてシステム導入を行うことで、コスト削減や簡略化をすることが可能です。

内容 ポイント
プラン・サーバーの見直し 現状に合ったスペックか定期的に確認
不要な機能・ツールの解約 使っていない有料機能やツールはないか精査
オープンソース活用検討 ライセンス費用は抑えられるが、技術力が必要
API連携 既存システムとの連携で二重開発を防ぐ

運用面での効率化と省力化

内容 ポイント
業務マニュアル化 作業標準化で時間短縮・ミス削減
自動化ツール導入 定型業務を自動化(RPA、MA、チャットボット等)
費用対効果を検討
アウトソーシング最適化 コストと品質のバランスを見て適切な業務を外注

EC Consulting JapanによるECサイトコスト最適化支援

EC-Consulting Japan株式会社

ECサイトのランニングコストは多岐にわたり、その分析と最適化には専門的な知識が必要です。「自社のコストは適正?」「どこから削減すればいい?」とお悩みなら、ぜひEC Consulting Japanにご相談ください。
私たちはECサイト運営のプロとして、現状コストの分析から具体的な最適化プランの策定・実行まで、貴社の事業成長に貢献するコスト戦略をサポートします。

コスト最適化支援の具体的アプローチ

  1. 現状コストの可視化・分析: 全てのコスト項目を洗い出し、無駄や課題を特定します
  2. 最適化プランの策定: 業界標準との比較や豊富な実績に基づき、システム・運用両面から具体的な改善策を提案します
  3. 実行支援と効果測定: プラン実行をサポートし、コスト削減効果と事業への影響を測定・評価します

コスト最適化の成功事例

  • アパレルA社: 広告費と物流費を見直し、年間約800万円のコスト削減と売上120%向上を両立
  • 食品B社: システム移行と決済手数料交渉により、システムコストを約50%削減し利益構造を改善

まとめ:ECサイトのランニングコストを最適化し持続可能なビジネスを実現

ECサイト運営において、ランニングコストの管理は事業の成否を分ける重要な要素です。サーバー費、システム利用料、決済手数料、人件費、広告費、物流費など、多岐にわたるコストを正確に把握し、計画的に予算を立てることが求められます。

構築方法によってコスト構造は大きく異なり、隠れたコストも存在するため、表面的な費用だけでなく、長期的な視点でのコスト効率を考えることが大切です。また、コスト削減は、業務効率化やデータ活用を通じて、品質を維持しながら行う必要があります。

もし自社だけでのコスト分析や最適化に限界を感じているなら、専門家の力を借りるのが有効な手段です。
EC Consulting Japanは、貴社の状況に合わせた最適なコスト削減戦略を提案し、持続可能なECビジネスの実現をサポートします。ランニングコストに関するお悩みは、ぜひ一度ご相談ください。

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記事の監修者

EC-Consulting Japan株式会社 代表取締役社長

松下 直人

松下 直人

会社員時代に個人輸入した商品をネットで売ったことがきっかけで、EC事業に目覚める。
その後輸入から販売までのフローを組織化し、EC-Consulting Japan株式会社を創業。
現在は自社で複数のネットショップを運営しながら、自信の経験と自社の成功&失敗事例を元に、副業の個人から中小零細企業まで幅広くサポートしている。

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