ECサイトのコンバージョン率(CVR)とは?低い原因・改善方法も解説

ECサイトを運営しているとよく耳にする「コンバージョン率(CVR)」。売上や集客に直結する重要な指標ですが、「なぜCVRが低いのか分からない」「どう改善すればいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、CVRの基本から、低下する主な原因、そして効果的な改善方法までをわかりやすく解説します。
ECサイトのコンバージョン率の概要

ECサイトのコンバージョン率を計測するためには、Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールを活用するのが一般的です。
「コンバージョン」という言葉は、もともと「転換」を意味しますが、マーケティングの文脈では「顧客への転換」を指します。
ECサイトにおいては、サイト訪問者が商品を購入することで、顧客への転換が完了したと考えます。この「コンバージョン」が発生する割合を示すのが、コンバージョン率(CVR)です。
具体的には、サイトに訪れた人数に対して、実際にアクションを起こした人数(購入者)の割合を計算します。
たとえば、100人がサイトにアクセスし、そのうち10人が商品を購入した場合、コンバージョン率は10%(10人÷100人×100)となります。この計算では、人数ではなくセッション数を使用する場合もあります。
ECサイトのコンバージョン率を測定する方法

ECサイトのコンバージョン率を計測するためには、Google アナリティクスなどのアクセス解析ツールを活用するのが一般的です。
これらのツールを適切に設定すると、サイト訪問者数やコンバージョンの発生数を自動的に追跡し、コンバージョン率を計算することができます。
Google アナリティクスを使用する場合、ユーザー登録後に「トラッキングコード」を取得し、それをECサイトに埋め込むことで計測が始まります。
さらに、どのアクションを「コンバージョン」としてカウントするかの設定が必要です。
たとえば、ECサイトでは購入完了ページの表示をコンバージョンとみなす設定が一般的です。この設定を行うためには、「目標」という項目を設定する必要があります。
ECサイトのコンバージョン率の目安
コンバージョン率を計測できるようになると、その数値が高いのか低いのかが気になるところです。
一般的にはECサイトのコンバージョン率は1%~3%程度が目安とされていますが、小売業のECサイトでは、3%を目標にするのが理想的です。
特に「指名ワード」で訪問したユーザーに関しては、すでに購入意欲が高いため、コンバージョン率が高くなる傾向があります。これらのユーザーに対しては、10%以上を目指すのが理想です。
しかし、理想的なコンバージョン率の数値は商品のジャンルや知名度、価格帯によって、コンバージョン率は異なります。
たとえば、高額な商品はコンバージョン率が低くなる傾向がありますし、季節や時期によっても変動しますが、3%を下回る場合はコンバージョン率が低いと判断することができます。
ECサイトでコンバージョン率が低くなる原因

ECサイトでコンバージョン率(CVR)が低くなる理由はいくつかあります。以下にその主な原因を紹介します。
- ターゲット層が適切でない
- ユーザー目線での設計不足
- 市場や環境の変化
ターゲット層が適切でない
ECサイトの訪問者数が増えても、コンバージョン数が上がらない場合、それはターゲット層が適切でないからです。マーケティング活動がターゲットとなるべきオーディエンスに届いていないか、コンテンツが関心を引く内容でないことが原因です。
よくあるのは、広告のターゲット層設定が誤っている場合です。例えば、広告をクリックする人が実際には商品に興味を持っていないため、サイトに訪れても購入につながらないというケースです。
この問題を解決するためには、広告ターゲティングの精度を高め、関連性のあるトラフィックを引き寄せることが必要です。
ユーザー目線での設計不足
ECサイトがユーザーにとって使いにくいと、購買意欲が湧きにくく、結果としてコンバージョン率が低くなります。
ユーザーにとって使いづらいサイトとは、例えば以下の内容が挙げられます。
- 使い勝手の悪い検索機能
- 必要以上に多くのフォーム入力項目
- 信頼性を欠いた大げさな表現
- 商品情報が不足している
これらが原因で、ユーザーは求めている商品や情報を見つけられず、サイトから離れてしまうことが多いです。
また、購入手続きが複雑だったり、支払い方法に選択肢が少ない場合も、ユーザーに不便さを感じさせ、購入をせず離脱してしまうことがあります。
こうした問題を解消するためには、ユーザーの好みに合った商品提供や、簡単に使える検索機能、わかりやすい商品説明を提供することが重要です。
市場や環境の変化
市場や環境の変化がコンバージョン率に大きな影響を与えることがあります。
流行の変化によって、以前は人気があった商品が急に需要を失うこともあります。また、経済情勢の変動や競合他社の新たな参入など、外的要因が影響することもあります。
これにより、以前は効果的だった商品ラインやマーケティング戦略が通用しなくなり、ECサイトの訪問者が購入に至らないことが増えます。こうした変化を受けて、定期的に市場調査を行い、戦略を見直すことが重要です。
ECサイトでコンバージョン率を高める方法

ECサイトでコンバージョン率を向上させるためには、いくつかの重要なポイントを押さえることが必要です。
ここでは、ECサイトのコンバージョン率を高めるための方法について、具体的に説明します。
- ターゲットとペルソナをしっかりと設定する
- トップページと導線を見直す
- モバイル表示に対応する
- 入力フォームを最適化する
- 商品画像を多く設定する
- おすすめ商品を表示する
- 対応する決済方法を増やす
- チャットボットを活用する
ターゲットとペルソナをしっかりと設定する
まず最初に、ターゲット・ペルソナを設定することが重要です。ターゲット・ペルソナとは、商品やサービスを利用する理想的な顧客像のことを指します。
ECサイトを設計する際、商品の企画や販促活動など、さまざまな面でターゲット・ペルソナをしっかりと考慮することが大切です。
たとえば「30代の男性」といった漠然としたターゲティングではなく、年齢、職業、年収、生活習慣、抱えている問題など、より細かくペルソナを設定することで、より具体的なニーズを把握できます。
このように詳細なペルソナ設定を行うことで、ユーザーが求めているものが明らかになり、コンバージョン率の向上につなげることが可能です。
トップページと導線を見直す
次にトップページと導線の見直しです。多くのユーザーが初めて訪れるのが、ECサイトのトップページです。このページはユーザーとの最初の接点であり、非常に重要な役割を果たします。
トップページのデザインやコンテンツが魅力的であることはもちろん、他のページへスムーズに導けるような構造にすることが求められます。特に、商品のページへ簡単にアクセスできるような導線設計が重要です。
トップページに訪れたユーザーが迷わず目的の商品を見つけられるよう、カテゴリー設定や検索機能を工夫することが、離脱を防ぐポイントになります。
モバイル表示に対応する
モバイル端末への最適化も欠かせません。スマートフォンやタブレットからECサイトにアクセスするユーザーは年々増加しています。
モバイルに対応したサイトを提供することで、ユーザーの利便性を高め、コンバージョン率の向上が期待できます。
モバイル最適化には、画面サイズに合わせて自動的にレイアウトが調整されるレスポンシブデザインの採用が効果的です。
さらに、ページの読み込み速度にも注意を払いましょう。モバイル端末では、特に表示速度が遅いとユーザーがすぐに離脱してしまう可能性が高くなります。
また、決済方法においても、クレジットカードだけでなく、キャリア決済や電子マネーなど、モバイルで簡単に利用できる方法を用意することが重要です。
入力フォームを最適化する
次に、入力フォームの最適化です。ECサイトでの購入や会員登録の際、ユーザーが入力するフォームは必須の部分です。このフォームをいかにストレスなく、簡単に使えるようにするかが、コンバージョン率に大きく影響します。
フォームの項目数は最小限に抑え、入力項目が1つずつ表示されるようにすることで、ユーザーの負担を軽減できます。さらに、入力後のチェック機能や、ヒントを表示することで、ユーザーが間違えずに入力を進められるよう配慮します。
このように、簡潔で使いやすいフォームは、コンバージョン率を高めるために必要不可欠な要素です。
商品画像を多く設定する
商品画像を充実させることは、コンバージョン率向上に効果的です。特にECサイトでは、視覚情報が購買行動に強く影響します。商品の素材感やサイズ感を伝えるには、複数の角度から撮影した高品質な画像が有効です。
また、実際の使用シーンをイメージできる写真も掲載することで、ユーザーは自分が使う姿を想像しやすくなり、購買意欲が高まります。画像は商品の魅力を伝える大切な要素です。
おすすめ商品を表示する
おすすめ商品の表示も、コンバージョン率を向上させる手段の一つです。ユーザーが商品ページを閲覧している際に、他の人気商品や類似商品を表示することで、さらに興味を引き、他の商品への関心を促進できます。
特に、ユーザーの閲覧履歴や購入履歴に基づいたパーソナライズされたおすすめを提供することで、ユーザーにとって関連性の高い商品を提案できます。このように、ユーザーの関心を引きつけることで、滞在時間を延ばし、最終的には購入につながりやすくなります。
対応する決済方法を増やす
さらに、決済方法を多様化することも重要です。ECサイトでの購入をスムーズに進めるためには、ユーザーが好む決済方法を用意することが大切です。
クレジットカードに加えて、Amazon Payや楽天ペイなどのID決済、さらには後払い決済やコンビニ払いなど、さまざまな決済方法を提供することで、幅広いユーザー層に対応できます。
特に若年層のユーザーには、コンビニ払いなどを取り入れることで、購入率が上がる可能性が高くなります。
チャットボットを活用する
最後に、チャットボットの導入も効果的です。ECサイトでの購入において、ユーザーが抱える疑問を解消するために、24時間対応可能なチャットボットを設置することで、購入の後押しができます。
ユーザーがカートに商品を追加し、購入を迷っている際に、チャットボットがサポートすることで、購入を促進することが可能です。電話での問い合わせを避けたいユーザーにも便利な手段を提供し、利便性を高めることができます。
ECサイトのコンバージョン率向上のため改善すべきページ

ECサイトのコンバージョン率を向上させるためには、重要なページを特定し、改善を行う必要があります。
しかし、単にコンバージョン率だけを見ても、どのページを改善すべきかはわかりません。
コンバージョン率は「コンバージョン数÷訪問者数」で算出されますが、この数字だけではサイト訪問者がどのような行動を取ったのかまではわからないからです。
購入のプロセスには、「商品情報を見る」、「商品をカートに入れる」、「決済情報を入力する」といった段階があります。
それぞれのプロセスにおいて、どれくらいの割合の訪問者が次のステップに進んでいるのかを詳細に計測し、その結果を基に改善策を講じることが重要です。
以下では、コンバージョン率に影響を与える主なページについて解説します。
- ランディングページと商品ページ
- 買い物かごとショッピングカート
- 決済フォームと確認ページ
ランディングページと商品ページ
商品ページまでたどり着いた訪問者のうち、どれくらいが商品をカートに入れるかは非常に重要な指標です。
この割合は「カート投入率」と呼ばれ、通常は5%程度が目安とされています。
訪問者が商品に関心を示した段階では、カート投入率を高めるために購入意欲を高める施策を実施することが有効です。
例えば、商品の魅力を伝えるためのキャッチコピーや画像の改善が考えられます。
買い物かごとショッピングカート
ECサイトのコンバージョン率を向上させるには、改善すべきページの見直しが欠かせません。
特に、買い物かごやショッピングカートの使いやすさは重要です。ユーザーがスムーズに商品をカートに追加し、迷わず購入へ進める設計が求められます。
例えば、カート内の商品情報が不足していたり、合計金額が分かりにくかったりすると、購入をためらう要因になります。また、決済ページに進む前に会員登録を必須とすると、離脱率が上がる可能性があります。
シンプルなデザインやゲスト購入の導入、決済方法の選択肢を増やすことも効果的です。
決済フォームと確認ページ
ECサイトでは、購入手続きの途中で離脱してしまう利用者が少なくありません。
特に決済フォームや確認ページでの離脱は、大きな機会損失につながります。入力項目が多すぎたり、手続きが煩雑だったりすると、購入意欲が下がってしまうためです。
スムーズな決済を実現するには、入力の手間を減らし、支払い方法を充実させることが重要です。
また、エラーが発生した際に適切な案内を表示し、利用者が迷わないようにする工夫も求められます。
決済完了までのストレスを軽減することで、コンバージョン率の向上が期待できます。
ECサイトのコンバージョン率(CVR)とは?低い原因・改善方法も解説のまとめ
ECサイトのコンバージョン率(CVR)は、売上や成果に直結する重要な指標です。CVRが低い原因には、サイトの導線やデザイン、商品情報の不足などが考えられます。適切な分析と改善により、大きな成果につなげることが可能です。
自社での対応に限界を感じている場合は、EC改善の専門家に相談するのがおすすめです。詳しくは「EC-Consulting Japan」までお問い合わせください。
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