Yahoo!ショッピングのPRオプション・アイテムリーチの料率の決め方|損益分岐ROASと広告費の目安
2026.10.29
この記事の結論
Yahoo!ショッピングの広告で一番大事なのは、粗利率から「損益分岐ROAS」を計算して、そこに200〜300%を足した水準で回すことです。
損益分岐ROASは「100 ÷ 粗利率」で出せます。粗利50%なら200%、粗利25%なら400%、粗利20%なら500%です。
そして、PRオプションは全商品に一律でかけないこと。売れている商品だけに、売上が変わらないギリギリの料率でかけるのが基本です。
最後に、ROASの高さを目標にしないこと。追うべきは、利益の金額と手元の現金です。
この記事では、当社が支援先と自社ストアで回してきた実際の数字で解説します。
Yahoo!ショッピングの主な広告
| 広告 | 仕組み | 費用 | 向いている商品 |
|---|---|---|---|
| PRオプション | 売れた時に、売上の◯%を支払う。料率を上げると検索で優遇される(最大30%) | 売れた分だけ(成果報酬) | 繰り返し売れる、在庫を積み増せる商品 |
| アイテムリーチ(旧アイテムマッチ) | 検索結果などに広告として表示。クリックされたら支払う | クリック課金 | 新商品、中古・一点もの、単価3,000〜5,000円以上の商品 |
| ボーナスストア | ポイントを上乗せするイベントに参加。参加料率を支払う | 売れた分だけ | 5のつく日や日曜日、大型イベントで売りたい商品 |
アイテムマッチは、今は「アイテムリーチ」という名前になっています。考え方はほぼ同じなので、この記事ではアイテムリーチとして説明します。
ディスプレイ広告もありますが、Yahoo!ショッピングでは季節の販促以外は費用対効果が出にくいのが当社の実感です。
基本はアイテムリーチ+PRオプション+ボーナスストアの3つで組み立てます。

松下
Yahoo!ショッピングは「日々の広告運用をがんばる」モールではなく、「売上の実績を一気に作って、検索順位を上げる」モールです。
広告は、あとから来る検索のお客様を先に買うための投資だと考えてください。
損益分岐ROASと「合格ライン」
ROAS(ロアス)は、広告費に対して何倍の売上があったかです。広告費1万円で売上5万円なら、ROASは500%です。

| 粗利率 | 損益分岐ROAS | 当社の目安(+200〜300%) |
|---|---|---|
| 60〜70% | 約150% | 350〜450% |
| 50% | 200% | 400〜500% |
| 38% | 約263% | 450〜550% |
| 25% | 400% | 600〜700% |
| 20% | 500% | 700〜800% |
| 10〜15% | 700〜1,000% | 広告で売るのは難しい |
※粗利=販売価格−原価−手数料−送料(広告費は引かない)。
損益分岐ちょうどで回しても、実際は赤字になります。広告費の請求には消費税がかかり、販売価格は税込で見ているからです。
さらに人件費まで考えると、損益分岐に200〜300%を足した水準が、当社の考える「合格ライン」です。

松下
「ROAS400〜600%を目指せ」は大間違いです。合格ラインは粗利率で決まります。
利益率も聞かずに「ROAS500%が正解」と言うコンサルは、割と詐欺だと思っています。
1つ売るのにかかる広告費
アイテムリーチなら、1つ売るのにかかる広告費=100 ÷ 購買率(%) × クリック単価で計算できます。
購買率5%・クリック単価60円なら、1つ売るのに1,200円かかります。
客単価2,500円・粗利625円の商品なら、売るたびに約600円の赤字です。
逆に、1クリックにいくらまで出せるかは「粗利 × 購買率」で出せます。
粗利500円・購買率5%なら25円、粗利1,000円なら50円です。粗利1,830円・購買率7%の商品なら、約120円まで出せます。
この上限を先に決めてから、入札を始めてください。
PRオプションの料率の決め方
全商品に一律でかけない
- やる前の状態: ご夫婦2人で約1,500商品を扱う水道部品のストアです。PRオプション20%とポイント10%を全商品一律にかけていました。その結果、ボーナスストアの参加料率が27%(販売手数料と合わせて38%)まで上がり、利益率は10%未満でした
- やったこと: 一律の設定をやめ、アイテムリーチで反応が出ている「1軍」の商品だけを改善しました
- 結果: ボーナスストアの参加料率は約9%まで下がり、半年で利益率27%(17ポイント改善)になりました
- 松下の一言: 広告は、一度全部にかけて、数字が出た商品だけに絞る。これが基本です
別のストアでも、約1,500商品の全部に広告をかけて、利益率が10%を切っていました。
全部外して、費用対効果の出る商品だけにかけ直したところ、2〜3か月で利益率25%前後、売上は1.5〜2倍になりました。
広告は「増やす」より「絞る」方が、利益も売上も増えることがあります。
最初の料率は「今の順位」で決める
PRオプションを初めてかけるときは、まず0%の状態でメインのキーワードを検索し、自分の商品が何位にいるかを確認します。
| 0%のときの順位 | 最初の料率の目安 |
|---|---|
| 1ページ目だが、最上位ではない | 5% |
| 2〜3ページ目 | 10% |
| それより下 | 30%で一度上げて、1ページ目に入ったら5%ずつ下げる |
当社の支援先の実例では、ペットブラシが0%で11位→10%で6位→20%で2位、LEDライトが52位→20%で9位になりました。
PRオプションは、早ければ1時間ほどで反映されます。かけたらすぐに順位を確認してください。5%で30位→29位なら意味がありません。
15%で5位に上がり、翌週の売上が2倍になれば正解です。
料率は「売上が変わらないギリギリ」まで下げる
PRオプションの料率は、5%刻みで適当に決めないでください。1%、0.5%、0.1%と下げていき、売上が変わらないラインを探します。
年商6,000万円のストアなら、料率1%の違いで年60万円、0.1%でも年6万円の利益が変わります。
当社が支援先に共有している下げ方は、次のような形です。カテゴリ1位を取っても、急に外さないでください。
外すと商品の評価が落ち、検索順位もランキングも落ちます。
- 15% → 10% → 5%(ここで売上が落ちた)
- → 10%に戻す → 7% → 6%(ここで維持できた)
- → また落ちたら10%に戻す
判断の目安は「◯◯になったら」ではなく、今、売れているかをアクセスの数字で週ごとに見ることです。
私が店長だった頃は、5のつく日を除いた平日で1週間ずつ比べて、1%単位で上げ下げしていました。
ボーナスストアの参加料率は「平均PR料率」で決まる
ボーナスストアに参加するときの料率は、ストアの平均PRオプション料率が上乗せされます。
効いていないPRオプションを外すだけで、利益率が5%ほど改善することもあります。
PRオプションが必要な商品・いらない商品
| 必要 | いらない |
|---|---|
| ノーブランド品(指名検索がなく、ビッグキーワードで戦う) | 指名検索が多いブランド品 |
| 競合の強いカテゴリ(アパレル・下着・スマホ用品など。上位は15〜30%も普通) | 中古品・一点もの(新規出品は検索の一番下から始まる) |
| 繰り返し売れる・在庫を積み増せる商品 | 売れていない商品(2,000位が700位になる程度) |
| 検索の2ページ目を1ページ目に、1ページ目の3段目を1段目に上げたい商品 | その型番で最安値・すでに売れている型番商品 |
アイテムリーチの運用のコツ

- 最初は入札を下げすぎない: いきなり最低単価の25円にせず、50円ほどで入れて、ROASが100〜200%でもまず売る
- プレミアム統計で、買われていないキーワードを外す: ROASが300〜400%に上がり、表示も増える。「キーワードは、SEOなら広げる、広告なら絞る」です
- 商品を3つに分ける: 1軍(ROASが十分)はそのまま、2軍(少し直せば損益分岐を超える)はクリック率・購買率・クリック単価を調整、3軍(ROAS60〜100%)は止める
- 判断は直近3か月・300クリック以上で: 月100クリック未満で判断すると、たまたまの数字に振り回されます
- イベント日に予算を寄せる: 月の予算は日割りで使われるので、5のつく日や大型イベントの日だけ上限を上げる(ブースト)。当社の実例では、+5円では変化が小さく、+10円で効果が出ました
ROAS別の打ち手
| ROAS | 打ち手 |
|---|---|
| 60〜85% | 配信を止める |
| 100%前後 | クリック単価を半分に |
| 130%台 | 少し下げて、200%を目指す |
| 250〜350% | 維持 |
| 450%以上でクリックが少ない | クリック単価を倍に |
※粗利率によって合格ラインは変わります。上の表は、粗利30〜40%前後のストアでの目安です。
検索で上位の商品には、かけなくていい
おすすめ順ですでに上位にいる商品にアイテムリーチをかけると、ROASが高く見えます。でも実際は「広告がなくても売れていた」ことがあります。
支援先で外してみたら、売上は変わらず広告費が月7〜8万円浮いた例もあります。

松下
アイテムリーチは「商品スコア×入札単価」で順位が決まります。売れていない新品は、高く入札しても上に出ません。
逆に、売れてスコアが上がったページは、安い入札でも新品より上に出ます。
だから最初の数か月は、赤字ギリギリでも販売実績を作る期間だと割り切ってください。
PRオプションとアイテムリーチ、どちらを使う?
両方かけると、同じ注文に両方の費用がかかることがあります。費用対効果だけを見るなら、商品ごとにどちらかを選ぶのが基本です。
| 状態 | 使う広告 |
|---|---|
| おすすめ順ですでに上位にいる | PRオプション(順位を固定する) |
| まだ上位にいない・新商品 | アイテムリーチ(最初は赤字でも販売実績を作る) |
| アイテムリーチのROASが500%未満で、通常の検索で40位以内 | PRオプションに切り替えを検討 |
| 中古・一点もの | アイテムリーチ |
私自身は、立ち上げの時期は両方を使い、アイテムリーチで実績を作ってから、PRオプションの料率を下げてバランスを取る派です。
おすすめ順の上位が、一番売上が安定するからです。
競合がいくら使っているかを見る
広告の予算は、自分の都合だけで決めても意味がありません。
競合の1位が月200万円売って、広告に月40万円使っている市場に、月10万円の広告で挑んでも、一生抜けません。
逆に、競合が月20万円なら、あと15万円足せば1位が取れるかもしれません。勝てない予算で続けるのが、一番もったいないです。
予算が限られるなら、「毎月10万円を続ける」より「最初の3か月に50万円を集中させる」方が結果は出やすいです。
1日30〜50個売れている競合は、1日1個でも多く売り続けないと入れ替わりません。

松下
運動不足のおじさんが急にダッシュしたら、アキレス腱を切りますよね。広告も同じで、大型イベントの月だけ急に踏んでも走れません。
ピークの前の月から予算を上げて、販売実績を作っておく。
イベント当日は他の店も入札が青天井になるので、直前に単価を上げても実績がないと勝てないんです。
広告費は売上の何%が目安?
| 広告費の割合 | 判断 |
|---|---|
| 5%以下 | もっとかけた方がいい |
| 10〜15% | 健全(10%に収まれば上手) |
| 20% | 攻めの時期 |
| 25%以上 | かけすぎ(化粧品・健康食品などは例外) |
新しく立ち上げる店は、最初は広告費の割合が高くなります。
当社の経験では、売上に占める広告費が最初は75%ほど、販売実績がつくにつれて50%→25%→10%と下がり、7か月目あたりから回収の時期に入るのが一般的な流れです。
新しいストアに一律で広告をかけると、約2割の商品はすぐにプラス、約4割は「絶妙」(育てればプラス)、約3割はまったくダメ、という分かれ方をします。
勝負は、この「絶妙な4割」を3〜6か月育てられるかです。9割以上のストアは、その手前で広告をやめてしまいます。
「ROAS1,000%」にこだわると、利益は増えない
ROASは、クリック単価を下げて価格を上げれば、ほとんど売れなくても高く見せられます。
ROAS1,000%にこだわると広告費が使えず、売上も利益の金額も伸びません。

| 予算が小さいまま | 予算を増やした場合 | |
|---|---|---|
| 広告費 | 月1万円 | 月20万円 |
| ROAS | 5,000% | 2,000% |
| 売上 | 50万円 | 400万円 |
| 利益(粗利50%−広告費) | 24万円 | 180万円 |
※粗利50%の場合の単純な計算です。
実際の支援先でも、ROAS1,500%で回していた広告を800%まで下げたところ、売上が2.5〜3倍になり、月の利益は約10万円から約35万円に増えました。
ご相談の中でも、「ROASを気にしすぎて、広告予算を使い切れていないお店」が9割以上です。

松下
ROAS1,000%にこだわる社長には、「大事なのはROASや利益率じゃなくて、毎月の銀行残高ですよね」と聞きます。
広告費の支払いは翌月末で、売上の入金はそれより先です。ROASが合っていれば、広告をかけるほど現金が先に増えます。
【代表の体験談】客単価1,250円で、クリック300円は重すぎた
年商3.1億円のストアを運営していた頃、客単価は1,250円でした。
そこにクリック単価300円の広告をかけると、広告費だけで売上の約30%。かなり厳しかったです。
楽天でガードルを売っていた頃は、普段クリック100円の広告が、スーパーセール中は500円になりました。1つ売れるまで30〜50クリック。
広告費だけで1つ1.5万円です。定価より広告費の方が高い、という笑えない状態でした。
広告は、商品の単価と粗利から逆算して使うものです。単価が低い商品は、広告ではなく価格や商品名・画像で売る方が早いこともあります。
500円前後の商品なら、1個100円の赤字で100個売っても1万円。それで作った販売実績は、広告で買うより安くつきます。
ボーナスストアに参加すると、競合が消える
お客様が「ボーナスストアで絞り込み」をすると、参加していない店は検索結果から消えます。
当社で調べたあるカテゴリでは、全226,000件の商品が、ボーナスストアで絞り込むと46,000件、さらに狭いジャンルでは35件まで減りました。
参加するなら、「5のつく日」や日曜日が絡む日、11月の大型イベントが強いです。
ボーナスストアで利益率が下がっても、倍売れれば利益の金額はトントンで、新規のお客様もリピーターも倍になります。
ただし、値上げを試している時期は効果が見えにくくなるので、参加を見送る判断もあります。
相談現場でよく聞く、広告の悩み
- 「アイテムマッチを45〜50円に上げても、そんなに売れない。どれくらいやればいいのか分からない」(月商200万円の医薬品ストア)
- 「前のコンサルにPRオプションを高くかけさせられて、売れれば売れるほど赤字になる構造ができた」(月商100万円前後のメーカー品販売店)
- 「広告は3%持っていかれる感じがして出していない。メーカーに怒られるギリギリまで値引きしている」(一人運営の自転車店)
- 「上から『単月で赤字になる媒体はやめろ』と言われていて、広告費が売上の10%で頭打ち」(美容系のメーカー)
どれも、粗利から逆算した「かけていい上限」を先に決めていないことが原因です。
上限が分かれば、社内の説明も「20万円使うと108万円売れて、約19万円プラスになります」のように、数字で通せます。
→ 広告で売上が伸びない時の原因の切り分けは「Yahoo!ショッピングで売上が伸びない・急に売れなくなった原因と対処法」、有料化後の手数料は「Yahoo!ショッピング有料化で手数料はいくら増える?」をご覧ください。
参考にした情報
この記事の料率・ROASの数字は、当社の一次情報(支援先の広告運用の記録、自社で運営していたストアの記録)をもとにしています。
仕組みや料金は、次の公式情報を確認しています。
※広告の名称・仕様・料率の範囲は変わることがあります。最新の内容は、ストアクリエイターProのお知らせと公式の案内でご確認ください。
よくある質問
Q. PRオプションは何%に設定すればいいですか?
A. 決まった正解はありません。
0%の時の順位を見て最初の料率を決め、売れている商品にだけかけて、料率を少しずつ下げながら売上が変わらないギリギリのラインを探してください。
Q. アイテムリーチのROASはどのくらいあればいいですか?
A. 損益分岐ROAS(100÷粗利率)に、200〜300%を足した水準が目安です。粗利25%なら600〜700%です。
Q. 広告費は売上の何%までかけていいですか?
A. 10〜15%が健全な目安です。立ち上げ期は20%ほどかかることもありますが、販売実績がつくにつれて下がっていきます。
Q. PRオプションとアイテムリーチは、両方かけた方がいいですか?
A. 両方かけると、同じ注文に両方の費用がかかることがあります。
基本は、検索で上位にいる商品はPRオプション、まだ上位にいない商品はアイテムリーチで実績を作る、という使い分けです。
Q. 広告を止めると、売上は落ちますか?
A. 広告で販売実績を作っていた商品は、止めると通常の検索の順位も落ちることがあります。
止める前に、通常の検索での売上がどのくらいあるかを確認してください。
まとめ
- 損益分岐ROASは「100÷粗利率」。そこに200〜300%を足した水準で回す
- PRオプションは全商品一律にかけない。0%の順位から最初の料率を決め、ギリギリまで下げる
- ボーナスストアの参加料率は、平均PR料率で決まる
- アイテムリーチは1軍・2軍・3軍に分けて、3か月・300クリック以上で判断する
- ROASより、利益の金額と手元の現金を見る
Yahoo!ショッピングの広告運用でお困りの方へ
EC-Consulting Japan株式会社は、Yahoo!ショッピング Best Store Awardsで3年連続受賞した認定コマースパートナーです。
代表の松下自身が、自社ストアで数億円規模の広告予算を回してきました。
- PRオプション・アイテムリーチ・ボーナスストアの設定を、粗利から逆算して見直します
- 広告費に連動した報酬はいただきません
※成果はストアの状況や商材により異なり、売上を保証するものではありません。
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