ECサイト分析の流れとは?役立つツールも紹介

ECサイトの運営において、データ分析は売上向上やユーザー満足度の改善に欠かせません。どの商品がよく売れているのか、どのページでユーザーが離脱しているのかなどを把握することで、効果的な改善策を講じることができます。
しかし、「何から始めればいいのかわからない」「どんなツールを使えばいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ECサイト分析の基本的な流れをわかりやすく解説し、役立つツールも紹介します。データを活用し、より効果的なサイト運営を目指しましょう。
ECサイト分析の目的

ECサイトの成功には、データ分析が欠かせません。顧客の行動や売上の傾向を把握し、効果的な施策を打つことで、売上向上やユーザー満足度の向上につながります。
ECサイト分析の目的は、購入率の改善、離脱率の低下、マーケティング施策の最適化など多岐にわたります。
データを正しく活用すれば、競争の激しいオンライン市場で優位に立つことが可能です。ここでは、ECサイト分析の目的について詳しく解説します。
ECサイトの改善点を特定するため
ECサイトには売上を左右するさまざまな要素があります。
そのため、売上を向上させるためには改善すべきポイントを明確にする必要がありますが、改善点を一つ一つ探し出すのは効率的ではありません。
しかし、ECサイトを分析すれば、アクセス数や購入率、顧客単価などの数値を基に現状を把握できるため、問題点がどこにあるのかが一目でわかります。さらに、過去の施策の効果を測定することにも役立ちます。
特別セールやキャンペーンの結果を分析することで、効果的な施策とそうでない施策を把握できます。これにより、今後はより有効な施策を打つことが可能になります。現状の把握と分析により、課題や改善点を特定しやすくなることが、大きなメリットです。
業務の効率化につながる
ECサイトのデータ分析は、業務効率化にも大いに貢献します。顧客の行動を分析することで、どの業務が購入につながるか、どの業務が無駄であるかが明確になります。これにより、不要な作業を排除し、効率化を進めることができます。
また、無駄な業務を洗い出すことで、自動化するか?内部で行うかを選択することが可能です。自動化によって業務の負担を減らし、効率的に運営できます。
ECサイトを限られた人員で効果的に運用するためには、データ分析を活用して業務の見直しを行い、効率化やコスト削減を目指すことが重要です。
課題を洗い出すECサイト分析の流れ

ECサイトの改善には、明確な分析の流れが必要です。ここでは、課題を洗い出すための手順を紹介します。
- 自社ECサイトの課題を明確にする
- 課題に対して仮説を立てる
- 課題解決のために必要なデータを収集する
- データを元に改善案を考える
- 施策の実行・効果検証を行う
①自社ECサイトの課題を明確にする
まずは、ECサイトの課題を明確にすることが重要です。目的や課題が曖昧なまま分析を始めると、何を分析すべきかがわかりません。例えば、「売上が伸びない」「広告の効果が薄い」といった目的を明確にして分析を行うことで、方向性が定まります。
ただし、分析を進めることで課題が見つかることもあります。
その場合、ユーザーの「購入に至るまでの行動」を追っていくとよいでしょう。
具体的には、集客(流入経路)→トップページ→商品ページ→カート保存→購入という流れを確認します。
上記の過程を見ていくことで、「集客が不足している」「商品ページでの離脱が多い」など、売上につながらない理由を把握できます。
目的や課題を明確にすると、どのデータに注目すべきかが決まります。データを見る前に、何を知りたいのかを整理しておくことが、分析の第一歩です。
②課題に対して仮説を立てる
課題を具体化した後は、仮説を立てます。仮説は必ずしも正確である必要はなく、あくまで仮定の段階で構いません。
例えば、かご落ちを改善したい場合、「購入までのステップがわかりにくく、途中で離脱してしまっているのでは?」といった仮説が立てられます。
また、商品詳細ページのCVR(コンバージョン率)が低ければ、「商品ページでの訴求やCTAに問題があるのでは?」と考えます。
仮説を立てることで、どのデータを分析すべきかが絞り込めます。最初は複数の仮説を立て、それらを検証していくのが良い方法です。また、仮説は売上を最大化するための施策に結びつけることを意識しましょう。
③課題解決のために必要なデータを収集する
仮説を立てた後は、必要なデータを収集します。収集するデータは、設定した指標に基づいたものですが、関連しそうなデータも積極的に集めておくと良いでしょう。
関連データを見ていくことで、予想外の発見があるかもしれません。
ツールを使えば、さまざまなデータを収集できます。目的や課題に関連しそうな指標を計測し、必要なデータを整理しましょう。
④データを元に改善案を考える
収集したデータを分析したら、その結果をもとに改善案を考えます。例えば、サイトの回遊率が低く販売機会を逃している場合、サイトの使い勝手を改善する施策が考えられます。
分析を行うと複数の課題が見えてくることがあります。その場合、すべてに一度に取り組むのではなく、優先順位をつけて改善策を実行しましょう。売上に最も効果的と思われる施策から取り組むことが大切です。
⑤施策の実行・効果検証を行う
分析を通じて立案した改善施策を実行したら、次は効果を検証します。施策は実行するだけでは終わりではなく、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
実施した施策が成功すれば、さらなる結果を得るためには何が必要かを考え、失敗した場合はどこがうまくいかなかったのかを再度データ分析で確認します。
再び仮説を立て、施策を実行し、効果を測定するというサイクルを繰り返すことで、ECサイトの成長が促進され、売上の最大化が可能です。
ECサイトの課題解決について、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
売れないECサイトを改善する5つのポイント!課題の洗い出し方も解説
ECサイトを分析し課題を洗い出す秘訣

ECサイトの売上が伸び悩んでいる、離脱率が高い、コンバージョン率が低い…。こうした課題に直面していませんか?ECサイトの運営では、感覚ではなくデータをもとに現状を分析し、課題を明確にすることが重要です。
ここからは、ECサイトのパフォーマンスを正しく評価し、改善点を洗い出すための秘訣を解説します。
- データ分析の基本は「比較」
- 売上(CV)に直結する指標からチェックする
①データ分析の基本は「比較」
データ分析の基本は「比較」です。比較することで数値の良し悪しを判断できます。
目標値や平均値との比較、期間ごとの比較を通じて、現状が順調か、課題があるかを判断します。
ECサイト分析では、以下の比較が有効です。
時系列比較 | 昨年や先月との比較、時間単位での推移を見てトレンドを把握する。 |
ベンチマーク比較 | 現状の数値を目標や競合と比較し、ギャップを明確にする。 |
グループ比較 | 異なるグループの数値を比較し、優れたグループや改善が必要なグループを特定する。 |
これらの比較を通じて、データ分析が進みます。
仮説を立てる際も「どのデータと比較すれば課題を特定できるか?」を意識することが大切です。
②売上(CV)に直結する指標からチェックする
ECサイトの魅力的な点の一つは、購入プロセスがすべてサイト内で完結することです。
サイト分析を行う際、まず注目すべきは売上(CV)に直結する指標であり、これらをもとに改善策を検討することが不可欠です。
例えば、購入までの流れが「トップページ → 商品ページ → カート → 購入(CV)」の場合、最も注力すべきはカートから購入への移行(いわゆる“かご落ち”)を改善することです。このステップにおける改善は、効果が即効的であり、高い成果を期待できるため、優先的に取り組むべきです。
分析の初期段階では、売上に直結する部分から改善を進めるのが最も効果的なアプローチだと言えます。
ECサイトの課題を解決する施策考案のポイント

ECサイトを運営する上で、課題を解決するための施策を考案することは重要です。
ここでは、そのためのポイントをいくつか紹介します。
- 問題や影響の大きいページから優先的に改善
- ユーザーにとって使いやすいサイトを作る
- ユーザーの信用を得るための施策
- 商品の魅力や強みを明確に伝える
- サイト改善と効果検証を繰り返し行う
問題や影響の大きいページから優先的に改善
ECサイトの改善の目的は、最終的に利益を増加させることです。したがって、効果の高いページから改善を行うことが重要です。この判断には、アクセス解析やデータ分析を活用できます。
例えば、多くのユーザーが訪れている商品ページと、あまり注目されていない商品ページがある場合、人気のある商品のCVR(コンバージョン率)を向上させることが効果的です。
しかし、アクセス数が少なくても、CVRが非常に高い商品ページの場合は、そこへの流入を増加させるための改善も有効です。
また、ECサイトに訪れるユーザーの大半がスマートフォンからアクセスしている場合、PC向けページよりもスマートフォン向けページを優先して改善すべきです。
このように、自社サイトの特性やユーザーの傾向を分析することで、優先順位を付けた効率的な改善が可能です。
ユーザーにとって使いやすいサイトを作る
ECサイトでは、常にユーザー目線での設計が大切です。使いにくいサイトでは、ユーザーがスムーズに商品を選んで購入することができず、売上が伸びません。
ユーザーがECサイトに訪問した際に、欲しい商品をすぐに見つけられるように、サイトのデザインやレイアウトを工夫しましょう。
商品ページでは、商品の情報が簡潔に提示されているか、購入ボタンが分かりやすい位置に配置されているか、入力フォームが適切に動作するか、などをチェックし、使いやすさを重視して改善します。
ヒートマップツールを活用すれば、ユーザーがどのようにページを移動しているか、どこでつまずいているかの情報を得ることができます。また、改善後には、ページ滞在時間や離脱率などの指標を使って効果を測定できます。
AIDMA(アイドマ)
AIDMAは、商品を知ってから購入するまでの5つの行動段階を示したものです。具体的には次のような流れです。
- 認知(Attention)
- 関心(Interest)
- 欲求(Desire)
- 記憶(Memory)
- 購買(Action)
この流れを意識してECサイトを設計することで、ユーザーの購買意欲を引き出しやすくなります。
AISAS(アイサス)
インターネットユーザーに特有の消費行動を示すAISASのモデルも参考になります。こちらの流れは次の通りです。
- 認知(Attention)
- 関心(Interest)
- 検索(Search)
- 購買(Action)
- 共有(Share)
AISASでは、関心を持ったユーザーがその後、検索して情報を集め、購入し、さらにはSNSなどで共有するという流れになります。
これをECサイトに応用することで、認知と関心を引き出し、検索結果やSNSを活用した施策も有効に使えます。
ユーザーの信用を得るための施策
ユーザーからの信頼はECサイトの運営において非常に重要です。
信頼を失うと、SNSなどでネガティブな評判が広まり、企業のブランドにも影響を与えます。信頼を築くためには、誠実な姿勢が必要です。
商品のメリットだけでなく、デメリットもしっかり伝えることが大切です。また、実際に購入したユーザーのレビューを掲載することで、商品に対する信頼感を高めることができます。問い合わせ対応を丁寧に行うことや、よくある質問(FAQ)を掲載することも有効です。
さらに、個人情報の取り扱いにも配慮が必要です。ECサイトには必ずプライバシーポリシーを掲示し、ユーザーから必要以上の情報を収集しないよう心がけましょう。
商品の魅力や強みを明確に伝える
ECサイトの中心となるのは商品です。その魅力をしっかり伝えることが求められます。
特にオンラインショップでは、ユーザーとのコミュニケーションがすべて画面を通じて行われるため、実店舗とは異なる難しさがあります。
商品の魅力を伝えるためには、まず分かりやすいキャッチコピーを用いて、ユーザーの興味を引きましょう。
詳細な商品情報やスペックをいきなり伝えるのではなく、まずは商品の特徴を簡潔に示すことが効果的です。
また、商品写真は非常に重要です。多角的な視点から撮影した写真や、商品の使用シーンを示す画像を用意することで、ユーザーに商品のイメージをしっかり伝えることができます。商品によっては、動画を活用するのも一つの方法です。
これらの情報は定期的に見直し、改善を重ねることが大切です。A/Bテストを行い、最適な表現を選ぶことも効果的です。
サイト改善と効果検証を繰り返し行う
ECサイトの運営は、改善が一度きりでは終わりません。常にデータを収集し、分析し、改善を繰り返すことが重要です。
改善後には必ず効果を測定することが必要です。
たとえば、商品ページの画像を変更した場合、その変更が実際に離脱率を下げ、滞在時間を延ばしたかどうかを検証します。効果がなければ、別の改善案を試すか、その仮説自体を見直す必要があります。
改善のサイクルを回すことで、少しずつECサイトの品質を向上させ、利益を増加させることができます。
ECサイトの分析に役立つツール

ECサイトの運営において、効果的な分析ツールは非常に重要です。
これらのツールを駆使することで、サイトのパフォーマンスやユーザー行動を詳細に把握し、改善策を立てることができます。
今回は、ECサイトの分析において必須とも言えるツールをご紹介します。
Google Analytics4
Webサイトのアクセス解析ツールとして最も広く利用されているのが、Google Analytics4(GA4)です。マーケティング担当者やウェブ運営者の中には、すでに利用している方も多いのではないでしょうか。
GA4はGoogleが提供するアクセス解析ツールで、ウェブサイトに埋め込んだ計測タグを通じて、サイトのアクセス数やコンバージョン数などを詳細に確認できます。
たとえば、どのページにどれだけの訪問者が来ているのか(セッション数、ユニークユーザー数、ページビュー数)や、流入元チャネル、デバイス別の利用状況、離脱率が高いページなどを確認できます。
GA4は基本的な分析において非常に便利ですが、購買単価や顧客属性に基づいた詳細な分析や、ユーザー行動を細かく追いたい場合には、他の専用ツールの利用が必要です。
本格的にECサイトでの売上向上を目指すのであれば、GA4だけでは不十分な場合が多く、ユーザー行動分析ツールがより効果的です。
Google Search Console
Google Search Console(GSC)は、Google検索エンジンから自社サイトがどのように評価され、どのキーワードでユーザーが流入しているかを確認するためのツールです。SEO対策を行う際には、このツールでサイトの評価状況や流入経路をチェックし、課題を洗い出すことが基本です。
GSCは、自社サイトのデータしか取得できないため、競合サイトとの比較や、競合が流入しているキーワードの調査には限界があります。しかし、SEO施策の改善点を見つけるためには、欠かせないツールです。
Microsoft Clarity
Microsoft Clarityは、ユーザー行動を可視化するヒートマップツールです。
このツールでは、ページ内でユーザーがどこをクリックしているか、どこでスクロールを止めているかを確認できます。
また、実際のユーザー行動を録画したセッションリプレイ機能もあり、訪問者の動きを動画で追うことができます。
Clarityの特徴は、無料で使用でき、機能に制限がない点です。
ヒートマップにはクリックヒートマップ、スクロールヒートマップ、領域ヒートマップなどがあり、コンバージョン率(CVR)の改善にも役立ちます。
ただし、コンバージョンの計測機能がないため、どのユーザーがコンバージョンに至ったかを比較できません。
また、同一ページ内でのデータ分析に限られるため、ECサイト全体のデータ分析には物足りない部分もあります。
SiTest
SiTestは、A/Bテストツールとヒートマップツールが統合されたツールです。このツールを使えば、ページの改善点を探るだけでなく、A/Bテストを通じて、どの変更が最適かを分析できます。
ユーザーの反応を元に、サイトの改善案を試すことができるため、効率的に改善を進めることが可能です。
DLPO
DLPOは、単純なA/Bテストにとどまらず、複数の要素を組み合わせた多変量テストを行えるツールです。
これにより、複雑な改善をより短時間で行うことができます。商品画像やレイアウトなど、複数の要素を一度に比較できるため、より迅速かつ効果的なサイト改善が可能です。
顧客情報管理ツール
顧客情報管理ツール(CRM)は、ECサイトを利用するユーザーの情報を収集し、それに基づいて最適なアプローチを行うためのツールです。顧客の属性や行動パターンを把握することで、タイムリーかつパーソナライズされたアプローチが可能です。
これにより、ユーザーは自分のことを理解してもらえていると感じ、関係性が深まります。その結果、顧客のLTVを向上させることができます。
マーケティング・オートメーションツール(MAツール)
マーケティング・オートメーションツール(MAツール)は、顧客とのコミュニケーションを自動化するためのツールです。手作業や直感に頼る業務を自動化することで、コスト削減や業務の効率化を実現できます。
特に、見込み客に対しては、ニーズや課題に応じた適切なアプローチを自動的に行うことができます。顧客の属性や傾向に基づいたカスタマイズも可能で、より効果的なマーケティングを行うことができます。
ECサイトを分析し課題を解決するコツのまとめ
ECサイトの分析は、売上向上や業務効率化に欠かせません。まず、アクセス解析や購買データをもとに課題を特定し、適切なツールを活用して改善策を講じることが重要です。
Googleアナリティクスやヒートマップツールを活用することで、ユーザー行動を可視化し、効果的な施策を実施できます。
しかし、データの正しい解釈や具体的な改善策の立案には専門的な知識が必要です。当社のECコンサルティングサービスでは、貴社の課題に応じた最適な分析と改善策を提案します。ECサイトの成果を最大化したい方は、ぜひご相談ください。
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